この記事で整理すること
- 損益分岐点売上は、固定費÷(1−変動費率)で求める
- 月商を営業日数と客単価で割り、営業現場の客数に戻す
- 借入返済元金と個人事業主の生活費は、資金繰りで別に見る
固定費と変動費を同じ条件で集める
固定費は、設定した営業規模の範囲で売上にかかわらず発生する費用です。家賃、定額サービス、固定的な人件費などを整理します。変動費には食材・飲料原価や売上に応じた決済手数料などを置きます。水道光熱費や人件費には固定的な部分と変動する部分が混在するので、単純な二分類が難しい場合は、分け方をメモして同じ前提で比較します。
売上原価を仕入額で代用すると、在庫の増減が大きい月に収支がずれます。実績がある店では在庫も照合し、開業前ならメニューごとの材料、歩留まり、廃棄の仮定を別に残します。目標の原価率と、実際の営業で掛かる変動費率は、別の数字として扱ってください。
損益分岐点を計算する
単純モデルの利益は『売上×(1−変動費率)−固定費』です。これがゼロになる売上を求めると、損益分岐点売上=固定費÷(1−変動費率)になります。率は47%なら0.47として計算します。変動費率が100%以上だと、いくら売っても固定費を回収できないため、この式では答えが出ません。
計算方法だけを示す架空例として、固定費90万円、変動費率47%と置くと、損益分岐点売上は約169万8千円(90万円÷0.53)です。これは業界平均でも推奨値でもありません。入力した費用と営業規模が変わらないという仮定の結果です。人を増やす、営業時間を延ばすなどの変更がある場合は、固定費や変動費の前提から入れ直します。
一日の客数に換算して、席と時間に照らす
必要客数の単純換算は『損益分岐点売上÷営業日数÷平均客単価』です。先ほどの架空例で月25日営業、客単価3,000円なら、一日平均で約22.6人(切り上げると23人)という計算になります。月平均の数字なので、曜日ごとの偏りや貸切、天候などを自動では反映しません。
この23人を、予約台帳に置くつもりで時間帯に分けてみます。早い時間に何人、遅い時間に何人を受け入れるか。席が空いていても調理や接客が追いつかなければ、人数だけを増やす計画は成り立ちません。既存店なら来客実績と提供時間、開業前なら試験営業の記録を使い、計算の前提を具体化します。
利益ゼロと現金不足は別の問題
損益分岐点を超えても、現金が十分に残るとは限りません。借入返済元金、設備購入、カード決済の入金時期などは、損益計算だけでは捉えきれないためです。日本政策金融公庫の飲食業向け手引も、収支と返済の検討を分けて示しています。
ツールに表示する『現金支出に対応する売上』は、『(固定費−固定費に含めた減価償却費+返済元金+個人事業主の生活費)÷(1−変動費率)』で計算します。減価償却費はその月の現金支出ではないため、この計算では固定費から除きます。減価償却費を固定費に含めていない場合に、もう一度引かないようにしてください。固定費に含めた金額を超える減価償却費は入力できません。税金、設備投資、売掛・買掛による入出金のずれは入っていません。この金額を売れば現金が減らない、という保証にはならない点にご注意ください。
個人事業主の生活費は、店の従業員給与と同じ行に混ぜず、資金繰り側に別欄を作ります。このサイトのツールでも、損益分岐点を、税引後の手取りや生活できる額としては表示していません。計算が終わったら、固定費の範囲、在庫、返済、生活費の四つを見直し、次の検討に進みます。
確認リスト
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作業の進み具合の記録です。完了しても適法性や事業の可否を判定するものではありません。
出典・確認日
- 日本政策金融公庫『創業の手引+ 飲食業』(収支計画・返済計画) ↗確認日:2026-10-16
制度の対象・期限・地域ごとの取扱いは、必ず最新の公式案内をご確認ください。本文は一般的な情報と資料整理の手順であり、個別の法務・税務判断を提供しません。